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2017.04.04
平成29年度東北文化学園大学・東北文化学園大学大学院 入学式 訓辞
イベント 大学から お知らせ(皆さんへ)

平成29年度東北文化学園大学・東北文化学園大学大学院
入学式 訓辞

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 東北の山々はまだ雪の中です。陽ざしはもう春ですが、風が冬の寒さをいつまでも運んで来るような気がいたします。桜前線はほぼ例年並みの北上ですので、ここ国見の丘では、入学式の開花にはまだ早いかもしれません。希望に満ちた今日この良き日に、みなさんを国見のキャンパスにお迎え出来ることを、教職員一同、心から嬉しく思っております。

 

  ただ今、3学部7学科、計495名、3年次編入学9名及び大学院博士課程前期6名、博士課程後期1名、総数511名の新入生に入学許可宣言をいたしました。

 

 本日晴れて入学を認められた新入生の皆さん、御入学誠におめでとうございます。この日を待ちわびておられた保護者の皆さまのお喜びはひとしおのことと存じ上げ、心からお祝いを申し上げます。

 

 本学は平成11年に開学して以来、本年3月までに15期にわたる卒業生を送り出し、本日は19期にあたるあなた方をお迎えすることになりました。私たちの大学はあと2年で創立20周年を迎えます。医療福祉系を中心とした大学としてさらなる進化を遂げるために、今年も努力して参りたいと思います。

 

 さて、大学生活を始めるにあたって、少し大学の紹介をさせていただきます。皆さんの学習を支援するために、1号館地下1階に、教育支援センター、略してEサポを設置しています。このEサポは1階にある図書館とともに、ラーニングコモンズの機能を持ったスペースになっています。サポートスタッフによる学習支援体制も整備されており、学生たちに人気の学修空間を形成しています。また、昨年LL教室のコンピューターを総入れ替えし、CALL機能を備えたマルチパソコンルームが2部屋完成しています。

 

次に、私たちの大学で毎年行われる、一般市民を対象とした二つの大きなプロジェクトについてお話します。一つが14回目を迎えた東北文化学園フォーラムで、昨年は5月に開催しました。東京農業大学名誉教授小泉武夫氏から「発酵食品のすすめ」というタイトルの特別講演を拝聴いたしました。700名程の聴衆は、小泉氏の博識に圧倒されておりました。

 

二つ目は、TBGUプロジェクトI「輝ける者」です。このプロジェクトは、仙台フィルハーモニー管弦楽団と第一線の指揮者の指揮のもとに、ベートーベンの「第九交響曲合唱」を歌います。昨年6回目を迎え、指揮者は、杉山洋一氏にお願いしました。学生たちは、4月から12月の演奏会までべートーベンや、シラーの詩に関する様々なことを学びながら、第一級の合唱指導陣から、合唱の指導を受けます。最後までやり遂げた学生諸君の充実感・達成感には素晴らしいものがあります。Eサポは、「第九交響曲合唱」の他にも、様々なプログラムを用意しています。どうぞ1人でも多くの学生諸君がEサポに足を運び、いろいろなプログラムに積極的に参加し、新しい発見をし、そして新しい友人を見つけてください。

 

 さて、入学式の恒例のプレゼントとして、今回は1本の映画を紹介させていただきます。タイトルは「奇跡の教室」というフランス映画です。わたくしがこの映画に興味を持ったのは、昨年8月3日付毎日新聞「水説」の中で、中村秀明氏が「知ることで変わる」という論説を書いており、その中で取り上げられていたからです。今年になってDVDとして発売されるという情報があり、図書館長にお願いして図書館で購入していただきました。その貸出視聴第1号が私ということになります。

 

 映画の概要に入る前に、基礎知識として第二次世界大戦時に、ナチスドイツにフランスが敗北した際、1940年から4年間続いたヴィシー政権について知っている必要があります。敗北したにも関わらず、主権国家としてのフランス政府の存続を守ることを可能としたために、ヴィシー政権のペタン首相、ラヴァル副首相は、当時熱狂的な支持をもってフランス国民に受け入れられました。ところが平和主義という名のもとに、実際はレジスタンス運動の弾圧や、ナチスドイツのユダヤ人絶滅政策に全面的に協力したために、大戦終了直後より批判にさらされ、フランス国民にとって思い出すこともおぞましい屈辱的な時代と言う評価が定着しています。1942年、当時のラヴァル首相下で、一つの事件が起きました。ヴェルディブ事件です。13,152人のユダヤ人が検挙されました。問題は、その内4,115人が15歳以下の子供だったことです。全員が鉄道によりドイツあるいはポーランドの強制収容所に移送され、そこからの子どもの生還者は1人もいなかったとされています。フランス人が、ユダヤ人絶滅というナチスドイツの政策に加担したこと、それをフランス人自らの手で行ったこと、子どもの搬送をナチスドイツは求めていなかったにもかかわらず、ラヴァル首相は自らの判断で、わざわざ子供も強制収容所に送りこんだという事実が明らかにされており、フランス政治史上の大きな汚点の一つとされている事件です。

 

それでは映画「奇跡の教室」の高校生たちに実際何が起きたのでしょう。まず高校生は、共に学び、考えることを通し、かつてフランス人が全面的に関与し、実行したユダヤ人絶滅計画について正確に知りました。そのことを知ることによってどう変わったのでしょうか。クラス崩壊を起こしていて、箸にも棒にもかからないと烙印を押されていたクラスの生徒たちが、フランスの正しい歴史の貴重な継承者に変わりました。主人公はレオン・ブルム高校の1年生と、担任で教員歴20年の、歴史と地理の先生、マダム・ゲゲンです。学級崩壊寸前のクラスを受け持ちますが、ゲゲン先生は、「あなたたちのためなのよ」「だれも私の言葉を聞こうとしない」と嘆きはするものの、一貫して生徒たちの味方です。そんなある日、「子どもと若者たち-ナチス強制収容所での日々」をテーマとした国主催の全国コンクールへの参加を生徒たちに呼びかけたのです。そのとき「あなたたちを信じているのは私だけ?あなたたちならやれるはずよ」と語りかけます。その後の彼らの変化の過程は映画にありますので詳しくはお話ししません。ヴィシー政権下のラヴァル首相は、強制収容所に4,000人を超える子供たちを送らないですませることができた、という事実を突き止めた時の為政者に対する大きな怒り。大多数の教員からさじを投げられた高校生がそこまで事実を読み取り、正確に判断し、考えることができるまでに成長したのです。彼らは、コンクールにおいてフランスで第1位という栄誉に輝いたという、実話に基づいた映画です。

 

私たちには、どんな人がどこまで成長するのかを予知することはできません。ゲゲン先生は、ほとんど崩壊しているクラスを担当し、決してあきらめず、学生の味方であるという立場を最後まで崩さず、貫き通しました。教える側と教わる側の信頼関係が築かれていたからこそ、奇跡が生まれたとも言えるのです。

 

この会場におられる学生、教職員の方に是非このDVDをご覧になることをお勧めします。米国のオバマ前大統領が選挙運動で、「Change – Yes We Can!」というスローガン掲げ、熱狂的な支持を集めました。新入生の皆さんには、大学での学びを通して、在学中に大きく成長して欲しいのです。皆さんにとって生涯の礎になるような無形の財産を、しっかりと蓄えていただきたいのです。このことを心から望んでいます。

 

最後に、学園歌のタイトルにある「輝ける者」について、触れておきたいと思います。「輝ける者」は、私達の大学の求める理想的な人間像を、一言で言い表した言葉です。皆さんが成長し、「輝ける者」として力強く社会に羽ばたいて行く日まで、教職員一同、皆さんに寄り添いながら支えて行くことをお約束し、訓辞を終えたいと思います。

 

平成29年4月4日
東北文化学園大学
学長 土屋 滋

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