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2015.06.05
【コラム】第13回てつがくカフェの様子を写真で紹介(小渕 高志 准教授)
学科専攻 保健福祉学科 コラム お知らせ(皆さんへ)

みなさまごきげんよう。私、医療福祉学部は保健福祉学科に所属いたします教員で、名を小渕高志と申します。

 

5月27日(水)に開かれた13回目のてつがくカフェの様子を写真で紹介いたします。今回のテーマは、「『健全』とは何か?」です。

 

「健全」とは、とあらためて問われると、私はとても困ってしまいました。誰もが聞いて納得するような考え方を、私は即答することができないのです。

 

さて、きょうのてつがくカフェに集まった人たちは、今回の問いにどのように答えてゆくのでしょう。対話の行方をご覧ください。

 

20150527てつがくカフェ

ファシリテーターをつとめるのは、本学科教授の西村高宏先生です。

 

今日のテーマも、学生さんから発案されたものでした。保育を勉強していると、健全な発達や健全育成というように、教科書には健全という言葉が多く用いられるとのこと。でも、健全とはいったい何だろうと疑問を持たれたとのことでした。

 

20150527てつがくカフェ

健全という言葉に疑問を持ったきっかけを語ってくれました。

 

健全とは何かを考えるうえで、様々なトピックを挙げていきます。

 

20150527てつがくカフェ

健全とは何かを考えるうえで、思いつくことを自由にあげてゆきます。

 

健全というテーマから、きょうのてつがくカフェは看護学科や保健福祉学科の先生たちの参加も目立ちました。小児看護、発達、健康。健全はこうしたテーマと密接にかかわっているのでしょう。教育と現場との実践知からの発言がなされることで、対話がより深まっていきます。学生も大いに刺激を受けている様子。

20150527てつがくカフェ

発言するのは、レクリエーション・スポーツの分野から子どもの発達を研究されている本学科の森田清美先生。

 

20150527てつがくカフェ

現場の実践からの発言を聞いて、大いに興味を持った学生さんは、さらに質問を重ねてゆきました。

 

健全といったときに、違和感を覚えるという新しい視点が。何をもって健全とするか、社会の枠にはめ込もうとする抑圧をともなうのではないかという意見が投げかれられました。

20150527てつがくカフェ

対話に新しい視点を投げかけるEサポセンター長は、本学科教授で医療福祉政策論を担当されている加藤由美先生です。

 

その視点から対話がさらに進んでいきます。白熱してきましたね。

20150527てつがくカフェ

ヒートアップする対話の行方に、ファシリテーターの西村先生もエキサイティングしています。

 

グラフィックを担当される近田真美子先生からも発言がなされました。近田先生は本学のお隣、東北福祉大学の先生でいらっしゃいます。

 

20150527てつがくカフェ

発言されるグラフィック担当の近田真美子先生。いつも素敵なグラフィックをありがとうございます。

そろそろ定義を作らねばなりません。定義に盛り込むキーワードを選びます。

 

20150527てつがくカフェ

「このほかに必要なキーワードはありませんか」。発言を促す西村先生。

 

キーワードを挙げ、定義を作り上げようとしますが、なかなかうまくまとまりません。苦心の末、このようになりました。

20150527てつがくカフェ

ここまでたどりつくのに、とても難儀しました。

 

いつもならここに全体のグラフィックを大きな写真で載せるのですが、すみません。撮り忘れました。解像度の高い写真を撮ることをすっかり忘れておりました。

 

小さな写真で文字が読めなくてごめんなさい。

20150527てつがくカフェ

小さい写真の上、ななめですみません。全体を入れようとするとこうしなければならないのです。

 

「ところで、今回のグラフィックは、壁に書いたのですか?」 

 

「はい」

 

「それじゃ、消せないじゃないですか! 大丈夫なんですか?」

 

「はい。大丈夫なんです」

 

ここまで心配されながら読んでくださったみなさま。ご安心を。この壁はホワイトボードにもなっておりまして、プロジェクターのスクリーンも兼ねております。この場所で映画上映もできるのです。素晴らしいですね。

 

「広々とグラフィックを描くことができて、とても楽しかった」と、近田先生もおっしゃっていました。さて、次回のてつがくカフェは、6月24日(水)午後6時20分からEサポで行います。次回もどうぞお楽しみ。そして、まだ足を運んでない方は、ぜひ1度来てみてください。

 

えっ。月末まで待てない。そんなアナタにはこちら。学生が主催するてつがくカフェが行われるのです。西村先生のゼミ生を中心に結成されたてつがくサークルが、いよいよ学生によるてつがくカフェを開催するのです。

 

開催日時などの詳しいご案内は、Eサポのフェイスブックページをご覧ください。それではみなさま、ごきげんよう。

 

【てつがくカフェ記事バックナンバー】

 

 【コラム】対等性の作法~大学にカフェ文化を!(西村高宏 准教授)

 

 【コラム】学園祭てつがくカフェの様子を写真で紹介(小渕高志 准教授)

 

【コラム】てつがくカフェの様子を写真で紹介(小渕 高志 准教授)

 


文/写真:小渕 高志(おぶち たかし)

 

自己紹介(お題は「健全」)

「哲学者になるということは、単に難解な思想をいだいたり、学派を築いたりすることではなく、ひたすらに知恵を愛するがゆえに、知恵の命ずるところに従って、簡素、独立、寛容、信頼の生活を送ることである。人生の諸問題を、理論的にだけではなく、実践的にも解決することである」(H.D.ソロー著、飯田実訳、『森の生活(ウォールデン)』、岩波文庫刊)

 

そのためか、哲学者には菜食(少食)者が多かったようです。その系譜はピタゴラスに始まるといいます。プラトン自身も、師のソクラテスとともに少食です。ソクラテスの教えを受け、プラトンが国家の理想的なありかたについて書いた『国家』の第2巻に、「飲食論」があります。ここには、ソクラテスが挙げた理想の食べ物が書かれているので、ちょっと読んでみましょう。

 

「身を養う食べ物としては、大麦から大麦粉を、小麦からは小麦粉をつくって、それに火を通し、あるいはそのまま捏(こ)ね固めて、出来上がった上品な菓子(生パン)を、葦(あし)やきれいな木の葉の上にもりつけて出すだろう」(『プラトン全集11』藤沢令夫訳)

 

プラトンやソクラテスが生きた当時のギリシャは、みなぜいたくな暮らしをしていたといいます。食事は肉食中心で、デザートには甘いケーキがいくつも出されました。時間をかけてたくさん食べるために、当時の人は横たわって食事をし、満腹になると食べたものをいったん吐いて再び食べ続けたといいますから、ぜいたくをとおりこして異常ですね。

 

『国家』には、こんなやり取りも書かれています。

 

「こんな暮らしかたをするなら、医者の数だって、前の国(健康な人の住む理想国家のこと)に比べてずっと多く必要となるではないか」

「そうですとも」

「領土にしても、前の国家ではそのままで住民を養うのに充分であったのが、こんな暮らしをする国だと、とても領土が足りなくて、小さすぎるということになるだろう」

「おっしゃるとおりです」

「そうすると、食料を収穫するのに十分な土地を確保しようとして隣の国の土地を一部切り取って自分たちのものにしなければならなくなる。もちろん隣の国でも同じように考えるだろう。実際に、必要以上に、無限に財貨を獲得することに夢中になるとすればね」

「ええ、どうしてもそういうことになります、ソクラテス」

「そうなると、次に来るのは戦争ということになるだろうね、どうだろう」

「そのとおりです」

 

飽食の行きつく先が戦争であることを、ソクラテスは語っています(引用は前掲書)。当時のこれらの食事を極端なぜいたくと言い切ってしまえばそれまでですけれども、なんだか現代社会ににていませんか?

 

脂肪の吸収を抑えるというトクホのドリンク類、ダイエットの効果を上げるとされるサプリ、次々に流行するダイエット法の数々。さすがに吐いて食べるなんてことはしませんが、いま食べたことをなかったことにしたい、食べ過ぎても健康でいて、さらにおいしいものをたくさん食べたい、いつでもどこでもおいしいものを満足するまで食べたいというわれわれ現代人の欲求は、ギリシャ時代の人々に通じるところでもあります。

 

ところで、哲学者の中には美食の大食漢もいました。ショーペンハウエルです。かれは、腹いっぱいにごちそうを詰め込んで、そのままテーブルに突っ伏していびきをかぎながら眠ってしまうという豪傑だったそうです。

 

ところで、オブチ先生は? 痩せの大食い、です。ぜんぜんだめじゃん。だから、こうした本を読んで、先人に学ぼうとしているのです。すると、ワーグナーも心情的には菜食者であったけれども、食べたい欲求を抑えることができず、肉食していた、とあるではありませんか。

 

同志を得て心強いからと、開きなおってはいけませんですって? たしかに。でも、ショーペンハウエルとワーグナーに影響を受けたヒトラーは厳格な菜食主義者でした。度を超すと、健全は狂気に近づくような気もします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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