研究がより多くの神経疾患のリハビリに活用される未来を信じて

 広報スタッフのKです。
 今日は、編集長から医療福祉学部の沼田純希先生が「脳神経疾患の歩行に関わるリズム運動制御」という興味深い研究をしているからと取材してきてほしいと指令を受け、研究室にお話を聞きに来ました。

助教 沼田 純希

助教 沼田 純希
2010年、国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科卒業、理学療法士免許取得。神奈川県内の総合病院で理学療法士として勤務したのち、2016年より東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科理学療法学専攻助手。2021年、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学研究科にて博士(保健福祉学)を取得。2022年より現職。脳神経系疾患の運動・時間処理障害に対するリハビリテーションを中心とした研究に従事している。

先生、鬼の編集長から沼田先生の研究を取材して来いと言われたのですが「脳神経疾患の歩行に関わるリズム運動制御」といわれても、医療も脳の話も詳しくない私には内容がさっぱりわかりません(泣)

広報K
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突然、難しい内容の取材を依頼されても困りますよね 笑
せっかく研究室を訪問いただいたので、私が現在研究をしていることについて、簡単に説明してみましょうか?

沼田先生
沼田先生

うわー、それは助かります!
良い記事が書けると3時のおやつが豪華になるので、嬉しいです!

広報K
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あれ?印象よりも楽しそうな職場なのかな?

沼田先生
沼田先生

研究について

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 現在、沼田先生はパーキンソン病の患者さんが、ある特定の動作をした時にあらわれる脳の働きについて研究をしています。

 「パーキンソン病」とは、脳内で情報を伝えるドーパミンという物質が減少することによって体をうまく動かせなくなる病気です。パーキンソン病では手足のこわばりや震え、動けないあるいは動作が遅くなる、歩きはじめや途中で足がすくむなどの運動症状が見られます。近年、その運動症状が現れる原因として時間認知(タイミングやリズムなど)のゆがみが関係していると考えられるようになってきました。

 そこで、私の研究では、本学の教授の古林俊晃先生と杏林大学医学部教授の寺尾安生先生らの研究グループが進めてきた時間認知の脳内機構に関する研究を基に、いくつかの大学病院や国立病院との共同研究として、歩行障害との関係性を調べています。患者さんは共同研究先の病院でデータ測定をさせていただきます。また、健康な方との比較も必要ですので、近隣の町内会にご協力いただき、研究に参加いただける方の募集も行なっています。

なるほど。これまでの研究をさらに進化させることが、少しづつ世の中を良くすることに繋がっているんですね。

広報K
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そうですね。私の研究も、他の研究者の方の研究があるからこそ課題を発見することができました。
全ての研究は、このようにして未来永劫発展していくものだと思います。

沼田先生
沼田先生

友人からココ壱番屋のおススメトッピングを聞きますが、そこに自分の好みを足して最高の一皿にするのに似ていますね!

広報K
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カレーと一緒にすると世界の研究者に怒られますよ!

沼田先生
沼田先生
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 研究の結果、これまで、一定のテンポで流れる音に合わせて、片足もしくは両方の足でタイミングをとってもらうと、パーキンソン病の患者さんは健常者よりもリズムが速くなるということが分かってきました。さらにこの現象は歩行に似せた両足交互の運動をする時に顕著に結果がでました。

 もともと、リズムや音楽に合わせて運動することは患者さんのリハビリとしても有効とされていましたが、今後、この制御が脳のどこで行われているのかを探ることで、パーキンソン病ばかりでなく、より多くの神経疾患にも効果的なリハビリを提供できると考えています。

なるほど!沼田先生の研究結果からも今後の展開が期待できそうですね!

あれ?

そういえば先生はお医者さんなんですか?

広報K
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私は理学療法士ですね。
主に、病気や障害で入院した方に対して、回復後に普段の生活が不自由なく行えるように身体機能の回復のサポートとしてリハビリテーションをします。立ち上がったり、歩く、走るなどの基本的な動きが中心ですね。

沼田先生
沼田先生

理学療法士とは

 理学療法士は、座る・立つ・歩くなどの日常生活に必要な基本的能力の維持と回復を促す専門職です。理学療法士の中心的な仕事は、病気やけがなどで体の自由が利きにくい人の身体機能を改善すること。主に、運動療法やマッサージ、電気、温熱などの物理的刺激で、基本動作の維持・回復をサポートする仕事です(本学HPより)。

聞いたことがあります!病院でリハビリの指導をしてくれる方ですね。バイクで電柱に突っ込んで骨折した時に、歩行訓練のリハビリを受けました。

広報K
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(おもったより破天荒な人だな・・・)

沼田先生
沼田先生

沼田先生が理学療法士になろうと思ったきっかけは何ですか?

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理学療法士をめざすきっかけ

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 理学療法士になろうと思ったきっかけは、子どもの頃サッカーと剣道をやっていて、足を負傷した際に足の動きに興味を持ったからです。私が所属する学科の学生に理学療法士を目指したきっかけを聞くと、似たようなエピソードが多く返ってきますね。

学生の方もそのような経験をしている方が多いのですね。
確かに入院したり、ケガが職業を知るきっかけの方も多そうですね。

広報K
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そうですね。最近ですとプロスポーツチームのトレーナが理学療法士ということもあるので、知名度も向上しています。
卒業生も楽天ゴールデンイーグルスをはじめ、その他プロスポーツのサポートに携わっている多くの卒業生がいます。

沼田先生
沼田先生

それは是非お話を聞いてみたいですね!
ただ、医療系の国家資格ということですと、色々覚えることや実習も大変そうですね。

広報K
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どうしても学ぶ量は増えるので、大学入学後の学びでは、モチベーションを保ち、さらに高めていくことが重要です。そのためには、理学療法士を目指す大学でどんなことを学ぶのか、入学前から知っておくことも大切です。

沼田先生
沼田先生

XやInstagramで情報発信

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理学療法学専攻ではXやInstagramで情報を発信しています。授業や実習の様子、教員の社会貢献や研究活動、オープンキャンパス実施報告などを発信していますので、中高生にもぜひ読んでもらいたいです。

突然、SNSの宣伝が笑

広報K
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実は私も担当しておりまして笑
授業や実習内容の紹介をしていますので、理学療法士をめざす高校生には是非フォローしてもらい、空気感を感じてほしいですね。

沼田先生
沼田先生

早速、自分も見てみましたが、学生の方の普段の様子や、授業の雰囲気もわかるので楽しいですね!
本日はありがとうございました!

広報K
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研究室訪問の感想

 沼田先生が普段使われている本学の実験室で、運動の分析ばかりでなく、身体に傷をつけずに人の身体(生体)の生理現象を記録するさまざまな装置を見せていただきました。今回のように、リズムに合わせて運動をしているときの、生体内で起こっている神経系や筋肉の機能や、脳のどこで調整が行われているのかを調べたりできるそうです。最近では、工学部臨床工学科との共同研究で、透析中の運動療法についても研究を行っています。

 神経疾患のある患者さんのため、大学病院の研究者らと共に解析を地道かつまじめに研究を行う理学療法士の沼田先生、その姿勢にとても感銘を受けました。

沼田先生が所属する学科専攻のページは
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