研究開始時の研究の概要
薬剤投与に伴う静脈炎に対する看護技術として、一般的に冷罨法が実施されている。しかし、寒冷刺激を与える上で重要な冷罨法の「温度」「実施時間」に関する具体的な検討と持続する傷害に対する治癒促進を目的とした看護技術の検証はなされていない。そこでこれまでの研究で明らかにしてきた「氷嚢温度」に続き、本研究では静脈炎に対する適切な冷罨法の「実施時間」と、持続する傷害に対する罨法の効果を明らかにすることを目的とする。本研究において得られた知見から、炎症抑制効果と治癒促進に最も効果的かつ安全な看護技術を検討する。
研究実績の概要
薬剤投与に伴う静脈炎に対する看護技術として、一般的に冷罨法が実施されている。しかし、寒冷刺激を与える上で重要な冷罨法の「温度」「実施時間」に関する具体的な検討と持続する傷害に対する治癒促進を目的とした看護技術の検証はなされていない。そこでこれまでの研究で筆者が明らかにしてきた「氷嚢温度」に続き、本研究では静脈炎に対する適切な冷罨法の「実施時間」と、持続する傷害に対する罨法の効果を明らかにすることを目的とする。本研究において得られた知見から、炎症抑制効果と治癒促進に最も効果的かつ安全な看護技術を検討する。
2020年度は研究の第1段階として冷罨法の「実施時間」の差による効果について、実験動物に作成した静脈炎モデルを用いて実験研究を行い検証する予定であったが、COVID-19の影響のため、物理的に困難な状況となり遂行できなかった。
そのため、本研究に係る現状に関して文献検討を行った。文献検討の結果、現在の臨床現場においても薬剤投与に伴う静脈炎は高い頻度で発生しているという報告があった(笠原ら、2021)。一方で本研究の目的である静脈炎に対する看護ケアの確立に関連する報告はなかった。以上より、臨床において薬剤投与に伴う静脈炎に対する効果的な介入の重要性は変わっておらず、本研究で得られる基礎的な知見は今後臨床へ還元される有用な根拠となり得ることを再確認した。
2021年度も継続したCOVID-19の影響は懸念されるが、当初の計画通り実験を遂行できるよう社会情勢を鑑みつつ、準備を整えていく必要がある。