コンピュータネットワークとは、有線や無線の通信経路を通して、複数のコンピュータをつなげる技術や状態のことをいいます。コンピュータネットワークとひと口に言っていますが、家庭内やオフィスなど限定した場所内を接続するための小規模なネットワークであるLANやWi-Fi。世界中に存在するそれらのネットワークを相互に接続している巨大な情報網がインターネットです。
「コンピュータネットワークにおいて安全かつ効率の良いデータ伝達・制御・管理の技術を探る、ということは、電波を効率よく飛ばしたりアンテナを立てて通信効率を高めたりというハードウェアとしての対策ではなく、ネットワークのいろいろな環境があるなかで、データを見られたり盗まれたりすることなく、どうやって安全に届けることができるか。安全だからといってすごく時間がかかったりすれば使いづらいので、どのように効率的に相手が望む品質で提供することができるのか。安全性と効率性の2つの面からのソフトウェア的なアプローチということです」。
長田先生は、さらにスマートフォンやPCを使っているその資源であるネットワークは、LANやインターネット、有線のもの無線のもの、場所によっても異なる、さまざまなネットワークが混在して使われていると指摘します。「たとえば仙台からどこか海外の人とインターネットを使ってビデオ会議をやるとします。ではその時に直接相手のPCにデータが飛んでいるか、1対1で通信しているかといったら、そんなことはなく、相手との間で無線・有線も含めてさまざまなネットワークを介してデータが届いているんですね」。
ではどこを通れば効率よくデータが届くのか、あるいはネットワークのどこか混雑しているところがある場合には 、その中継地点を介さないでほかの通信経路を通って送れば効率がいいかもしれないということがあります。「そうした周辺端末の通信状況などネットワークの状態を把握して、効率よくデータを届けたい。遠くに離れたいろいろなネットワークが介してるときに、どうやってデータをうまく転送するか、データの転送経路などを選択する、制御するという研究です」。《図2》
図2:端末の通信品質の要求を反映させたデータ転送経路の選択についての研究