人工透析による治療法は血液透析と腹膜透析の2種類あります。
髙橋先生が研究の対象としているのは血液透析。これは体内の血液を外に出し、透析器(ダイアライザ)を通して不要な老廃物や水分を取り除き、きれいになった血液を再び体内に戻す方法で、透析患者の多くがこの治療法を選択しています。「腎臓には老廃物をろ過し、尿生成の役割をするネフロンと呼ばれる構造があります。ダイアライザの中にも同様の働きをする中空糸があり、その中に血液を通し透析液と間接的に接触させ、濃度勾配を利用して物質を移動させる『拡散』やろ過圧の差によって水溶液を移動させる『限外ろ過』といった現象を利用して老廃物や水分を除去します」と血液透析の仕組みについて解説してくれた髙橋先生。
透析を行うには患者さんの側にも血液の体外循環を可能にするための仕組み(バスキュラーアクセス)が必要で、「内シャント」「動脈表在化」「透析用カテーテル」などの種類があるといいます。「内シャントは静脈に動脈をつなげることで透析を行えるだけの血液流量を確保するための重要な部位です。その血管の走行部位に針を刺して(穿刺)血液を体外へ導き出します。「内シャント」への穿刺は臨床工学技士の業務となっています。また2021年の法律改正により、表在化した動脈への穿刺についても可能になりました」。
授業で使用している透析装置とダイアライザ。血液は赤色側から青色側へ流れる
血液透析で用いられる針の直径は1.5mm〜1.6mmが一般的