日常生活における動作(例えば、歩く、立ち上がる、座る、またぐ、手をのばす)は、同じような動き方(運動パターン)で行われており、これを動作の定型性と呼んでいます。
我々がAさんとBさんという二人の歩き方をそれぞれシルエットで見たとします。二人のあいだに多少の動き方の違いがあっても、両者が歩いていることは誰もが理解できることでしょう。
しかし、どうして誰もが同じような動き方になるのか、その原理は完全には理解できていません。重要な要因として、エネルギー消費を出来るだけ少なくするように動いていることはわかってきています。
ところが、重力方向への運動はそうはゆきません。
私たちの研究では、立っている状態から椅子に坐ることを課題として考えていますが、エネルギー消費を抑えるということであれば、単純に倒れればよいのです。
ただし、それでは大怪我をするのは目に見えていますので、そのような選択はされません。それでは、何を基準として動き方が選択されているのか、それを突き詰めることが研究の目的です。
日常における身近な運動にも、不思議がたくさん詰まっています。