現在、日本における眼科医の数は13,639名、視能訓練士は10,130名(『令和5年版 厚生労働白書』より)。眼科医1名につき2〜3名の視能訓練士が必要といわれており、まだまだ不足している状況です。
「視能訓練士は医療の国家資格の中でも特に認知度が低く、業務の内容もあまり知られていません。これは、眼科という専門性の高い分野での職種であるということ、眼の検査というと視力検査くらいしか知られておらず、特にロービジョンリハビリテーションや斜視・弱視の訓練を担っている視能訓練士が少ないことも知名度の低さの要因の一つだと思うのです」と小野先生は指摘します。
ロービジョンとは「見えにくい人」を指します。しかし、「見えにくさ」は様々で、視力が低いこと以外にも、視野が欠けている、眩しさを感じる、暗い所で見えにくい…など、その症状は人によって異なるそうです。
「ロービジョンの人は、通常のメガネでは十分にものを見ることができない場合が多いため、補助具の使用をお勧めしています。しかし、ただ紹介するだけでなく、その人に合う補助具を選び、見え方を補う様々な工夫をアドバイスし、正しく使っていただき、自立した豊かな生活が送れるよう患者様とコミュニケーションを取りながら指導を行うことが必要です。そのためロービジョンリハビリテーションは非常に時間がかかり、患者様1人に約1時間を要します」。ロービジョンケアを行う視能訓練士の業務は多岐にわたり、検査技士だけでなくリハビリテーションの側面をもっとアピールしていく必要があると強調します。
「リハビリテーションを受け、見えにくくてもできることがあるという喜びを知ってほしいです」と小野先生。