「がん」は高齢者がかかる病気というイメージがあるかもしれません。しかし、実際には「乳がん」は30代後半から罹患率が上昇していき、がんの中でも罹患率の高い病気です。
「30代から60代にかけては、職場でも重要な仕事を任されていたり、家庭でも母や妻として大事な役割を担う時期です。多様な役割を担いながら、いかに自分らしい生き方、キャリアというものを続けていくか。そこにはものすごく知恵が必要なのではないかと考えています」と鈴木先生。
さらに、身近にがん患者さんと接する機会のない人々は、がんに対して「がんにかかったらもう治らない」「がんになったら仕事を辞めなければいけない」というイメージを抱きがちです。家族や職場など周囲の人々も、がんという病を持ちながら生活している方に対しての接し方がわからないために起きる問題もあり、それらが治療しながら働くということを困難にする要因にもなっていると言います。
「女性活躍推進法や育児・介護休業法など、働く女性というのは非常に増えている状況です。最近よく言われるダイバーシティなど、今、女性の生き方はとても多様性が高い時代だと思います。女性がどう生きたいか、病気になってもどう生きるか。その思いを支えていけるような看護を考えていきたいなと思っています」と研究への思いを語る鈴木先生。
「看護師は患者さんの体と心と社会、『自分らしく生きることとは?』といったスピリチュアルな部分も含め、患者さんを全人的に捉えて支援できる職業だと思います」と話す鈴木先生。