2026年度東北文化学園大学・東北文化学園大学大学院入学式
学長訓示
皆さん、ご入学おめでとうございます。
仙台の街並みを一望するこの国見の丘に建つ東北文化学園大学に、皆さんをお迎えすることができ、教職員一同、心から嬉しく思っています。これまで皆さんを温かく支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、お祝いを申し上げます。また、ご多忙の中、ご臨席賜りましたご来賓の皆様、誠にありがとうございます。
今日、このキャンパスに足を踏み入れて、皆さんはどんなことを感じたでしょうか。
私たちのキャンパスは、最近流行りの「街中のビル」にあるようなキャンパスではありません。ここには街中にはない豊かな時間が流れています。
春には桜が咲き誇り、鶯のさえずりが響き、ツバメが巣を作ります。晴れた日には屋外のベンチで、友人とコーヒーを片手に語り合う、そんな「大学キャンパスらしい」時間がここには流れています。どうかこの大学らしいキャンパスの雰囲気を存分に楽しんでください。
さて、今、社会に目を向けると、そこには「不確実性」が溢れています。
昨年夏の記録的な猛暑、この冬の日本海側の豪雪と太平洋側の記録的な降水量の少なさ、人の居住区に現れた多くの熊、さらには昨年12月の青森県東方沖地震など、まだ記憶に新しいと思います。そしてとても身近なこととして、AIの劇的な普及を皆さんは正に肌で感じていると思います。
世界を見渡せば、ウクライナやイランの情勢に代表される悲痛な紛争やそれと関連する経済の混乱など、ニュースから目を離せない状況が続いています。皆さんは「これから社会がどう変わっていくのか」という期待と、もしかしたら、それ以上の不安を感じているかもしれません。
このような不確実な時代を生き抜くために、皆さんにぜひ磨いてほしい力が「3つ」あります。
一つめは、「grit」、スペルはg・r・i・tで、「やり抜く力」と訳されています。
米国の著名な女性心理学者のアンジェラ・ダックワース博士は、日本語訳も出版されている「Grit やり抜く力」という著書の中で、ビジネス、科学、芸術、スポーツなど、どんな分野においても、いわゆる「成功している人」は、学歴や知能指数、才能に恵まれているのではなく、「やり抜く力」、つまり長期的な目標を達成するための「情熱」と「粘り強さ」を持っているというものです。幸いなことに、この力は生まれ持った才能ではなく、何歳からでも鍛え、伸ばすことができるとされています。
もしここで野球の大谷翔平選手を例に取るとしたら、どうなるでしょう。
大谷選手と同じレベルの才能を持った人は世の中に何人もいるはずです。大谷選手は、努力をすることで投手として、さらには打者としてスキルを飛躍的に伸ばし、そこでさらに大変な努力を積み重ねることで今の偉業を達成できていると考えられます。
つまり、スキルを上げるためには努力が必要で、偉業を達成するには、もう一度さらなる努力が必要になる、これがダックワース博士の理論の一つです。
二つめは、「仲間と共に学び、課題を解決する力」です。
私たちの大学の建学の精神は「輝ける者を育む」です。ここで言う「輝ける者」とは、自立した力を持ち、他者とかかわりながら未経験の問題に応える人のことです。
大学での学びは一人では完結しません。そこで、私たちの大学ではグループでの学びを重視しています。仲間と議論し、教え合いながら課題を解決します。実は、人に教えることこそが、自分にとって最も深い学びになります。フランスのジョセフ・ジュベールが「教えることは二度学ぶことである」という名言を残しています。
三つめは、「誰かに頼る力」です。
先ほど「やり抜く力」が大事だと言いましたが、実は提唱者のダックワース博士は、最近、あるポッドキャスト番組の中でこう語っています。「やり抜く力だけでは十分ではなかった」と。
彼女自身が研究と育児の重圧で潰れそうになった時、救ってくれたのがサポートしてくれる仲間でした。壁にぶつかった時、一人で抱え込まず「助けて」と言えること、これも立派な「力」です。
ここで、毎年入学式で私が皆さんにお願いしていることをさせてください。
学部生なら4年後、大学院生なら2年後、あるいは3年後、つまり卒業したばかりの4月、皆さんはどんな「輝ける者」になっていたいでしょうか。
今から30秒間、目をつぶって、その時の理想の自分を想像してみてください。
はい、今から30秒間です。
はい、目を開けてください。
今、皆さんが心に描いたその理想に向かって歩むのを、私たち教職員は全力でサポートします。
「やり抜く力」を鍛え、「仲間と共に課題を解決しながら自身を高め合い」、そして、もし躓きそうになったら、いつでも私たち教職員を、家族を、友人を頼ってください。決して一人で悩む必要はありません。
結びに、私たち東北文化学園大学の教職員は、卒業の時、皆さん一人ひとりが、自分らしく輝いていることを心から願っていること、その実現のために私たちが常に皆さんのそばにいるのを忘れないで欲しいことをお伝えして、入学のお祝いの言葉とします。
本日は、誠におめでとうございます。
2026年4月3日
東北文化学園大学
学長 加賀谷 豊






