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大学概要
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2024年度 学位記授与式(9月)

式 辞
 本日、晴れて卒業の日を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。また、今日まで長い学生生活を支え続けて下さったご家族や関係者の皆様にも、心からお祝いを申し上げます。

 初めに、皆さんが本学に入学して以来、様々な事を乗り越えて学びを継続してこられたことに、心から敬意を表します。かつて、多くの教職員と先輩の学生に迎えられ、皆さんの大学生活がこの国見の丘のキャンパスで始まりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、皆さんは様々な制限を受け、不自由さを感じ、時には大変な困難を経験されたと思います。ようやく昨年5月に、この感染症の法律上の位置付けが変わり、10月には4年ぶりとなる本格的な学園祭が、2日間にわたって開催され、最終日の夜には大曲の花火師による盛大な花火がこのキャンパス内から打ち上げられました。今、授業や課外活動はほぼ以前と同じ状況に戻っています。皆さんは同期の学生から半年遅れての卒業となりましたが、ここまで諦めることなく努力を積み重ね、学位記を手にすることができました。是非、このことを誇りにしてください。

 皆さんの大学生活を締めくくる2024年には、多くの忘れられない出来事がありました。年明け直後の能登半島地震では多くの方が亡くなり、今でも避難生活を余儀なくされている方がいらっしゃいます。また、気象庁によると、今年の夏は統計開始以降、西日本と沖縄・奄美では1位、東日本では1位タイとなる高温になりました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻とパレスチナのガザ地区での激しい戦闘が未だに続いており、多くの市民が犠牲になる状況に終わりの兆しが見えません。一方、パリで開催されたオリンピック・パラリンピックでは、日本人選手が多くのメダルを獲得するすばらしい活躍を見せてくれました。

 さて、今年3月の学位記授与式でもお話ししたことですが、Chat GPTを始めとする生成AIの利用の急激な拡大も大きな出来事の一つです。皆さんも、大学生活の後半で人工知能AIの進歩を実感したのではないでしょうか。一方、昨年、センター・オブAIセーフティという米国のNPOが、次のような声明を出しました。「パンデミックや核戦争といった社会規模のリスクと同様に、AIによる人類絶滅のリスクを減らすことを世界的な優先事項とするべきだ。」というもので、多くのAIの専門家やテック企業のトップが賛同し、署名しました。Chat GPTを開発したオープンAIのサム・アルトマンCEOもその一人です。センター・オブAIセーフティは、AIによる人類絶滅のシナリオを具体的に示しています。イギリスのBBCニュースがわかりやすく要点を紹介しているので引用すると、AIが兵器となり新しい薬の開発ツールを化学兵器の製造に使う可能性、AIで生成された偽情報が社会を不安定化させ、集団での意思決定に悪い影響を及ぼす可能性、AIの力が少数の人に集中し、国家が監視と抑圧的な検閲を通じて、狭い価値観を強制する可能性、映画「ウォーリー」で描かれたシナリオのように、人類がAIに頼りすぎて衰退する可能性などです。

 イーロン・マスク氏が率いるテスラが開発したヒト型ロボットであるオプティマスは、既にヒトが行う作業の多くを代行できるようです。今、世界が抱える数々の深刻な問題の解決に、AIの力は欠かせません。一方で、私達は誤った方向でAIが利用されないよう注意を払っていく必要があります。最近、日本政府もAI事業者向けのガイドラインを公表しました。この中で「人間中心」が繰り返し強調されているのは、そうでない社会をAIがもたらす危険性を示しているとも言えます。

 本学の建学の精神は「輝ける者を育む」です。「輝ける者」とは、自立した力を持ち、他者とかかわり合いながら未経験の問題に応える人です。皆さんがこれからも自然災害、地球温暖化、複雑な世界情勢、AI活用のあるべき姿など様々な課題に常に関心を持ち続けながら、学びを継続し、そして自らを磨いて輝きを増していくことを願い、私の式辞とします。本日は、誠におめでとうございます。


2024年9月30日
東北文化学園大学
学長 加賀谷 豊