Q. 個別面接で質問をしても何もしゃべらない学生がいます。授業も真面目に聞いていますが、あてると反応できません。このような学生をどう理解し、対応したらいいでしょうか。
A. 人から注視される場面で過度な緊張や不安を感じる症状があります。また、家などでは普通に話せるのに、学校のような特定の社会場面で話せない状態を「場面緘黙」と言います。この症状のために、本来持っている力を充分に発揮できない学生がいます。本人は話そうと思っているのですが、声が出ません。それを「わざと話さない」「話したくない」と誤解されるのは、本人にとって大変つらいことです。話さないことを責めたりしないようにしてください。
質問の仕方を変えてみる方法があります。①オープン型の質問(「実験はどこまで進みましたか?」)に返答が無ければ、②選択肢のある質問(「今している実験はAですか?Bですか?Cですか?」)にしてみます。それでも返答が無ければ、③YES,NOで答えられる質問(「Aの実験は終わりましたか?」)に変えてみます。この時、言葉だけではなく選択肢を紙に書くと答えやすくなります。
「ずれたことを言って変に思われたらどうしよう」という自信のなさから答えられない学生も多いようです。授業などでは、少し待っても答えられなければ次に移る方がよいでしょう。後から、言いたかったことを紙に書いて提出してもらう方法もあります。
また、予期しない場面は不安や緊張が高まるものです。グループワークや発表がある場合は、事前に通知しておくとよいでしょう。それでも発表が難しそうなら、例えば原稿を読み上げる形にする、原稿の提出だけにするなど、安心して力が発揮できる環境を本人と一緒に考え、整えられるとよいと思います。
ポイント
①「不安や緊張を感じやすい」と理解する。
②「話さないのではなく、話せない」という理解で関わる。
③ 質問の仕方を工夫する。
④ 本人が安心して力を発揮できる環境を整える。