A. やめたい理由が明確で、次の方向性が具体的に見えている場合は、「その方向へ進むために、本当に大学を辞める必要があるのか」を話し合った上で背中を押すこともあるかと思います。しかし、理由が不明瞭な場合は、すぐに承認や説得をしないことが大切です。やめたい気持ちを受けとめ、やめたいと思っている理由を尋ねてみてください。
悩みをうまく言葉で表現できないために「やめたい」と口にする学生も多くいます。その裏には、勉強が分からない、人間関係や環境が合わない、大学に通う意味が見いだせない、経済的に大変、留年しそう等、さまざまな理由があるものです。あるいは、これらがいくつか重なって「やめるしかない」「やめたら全て楽になるに違いない」という思いに至ることもあります。話をよく聞いて「やめたい」の背後を探ってみてください。そうすることで、他の選択肢や対処の仕方が見えてくることもあります。
退学のメリットとデメリットについて一緒に考えるのもよいでしょう。やめたい気持ちが強いときは、退学のメリットだけに目が行きがちです。
それでもやめたい気持ちが強いようでしたら、自分一人の考えなのか、誰かに相談したのか、やめた後どうしたいのか確認してみてください。それにより本人の意思や考えがどの程度なのかを知る目安となります。理由や意思があいまいな場合は、「やめたい」という言葉は「大学をやめたいと思うほどつらい状態にある」「どうしたらよいか分からない」という気持ちの置き換えなのかもしれません。その場合、早急に結論を出すのではなく、考える時間を持つこと、休学して考えることも一つの方法であることを伝えます。休学が選択肢として思いつかない学生も多くいます。
また、「やめたい気持ちと同時に、やめたくない気持ちもある?」「『やめたい』と『やめたくない』は、『いくつ』対『いくつ』ぐらい?」等と尋ねることも、学生が自分の気持ちを向き合うきっかけになります。どちらを選ぶにせよ、しっかりと葛藤をし、将来を考え、自分の納得のいく決定ができれば、その学生にとって大きな成長となるでしょう。