A. 「こんな言葉で傷ついた」「意地悪をされている」など、学生が、複数の学生や教員について不平不満を訴えてくることがあります。登場する人数が多いほど内容の整理が難しくなり、話の真偽も分からず、聞く側が戸惑いや不信感を抱くのはとても自然なことです。
こうした訴えの背景には、しばしば「自分だけが浮いている気がする」「誰にも理解されない」というつらさや「自分が悪者にされているのではないか」という深い不安が隠れています。学生は、事実の整理を求めているわけではなく、「ようやく気持ちを吐き出せた」という安心感を求めているのかもしれません。最初は内容の真偽に踏み込みすぎず、「それだけしんどい思いをしているんだね」と感情そのものを受けとめる姿勢をとるといいでしょう。
ただし、話題が次々と広がり学生自身も混乱している場合には、テーマを一緒に絞ることも有効です。「今話してくれた中で、どの出来事が一番つらい?」「まずは一つだけ整理してみようか」といった声がけは、学生が気持ちを落ち着ける助けになります。
また、相手への批判が続くときは、視点を「他者の問題」から「自分の困りごと」へ優しく戻していくことが大切です。「その出来事があって、今あなたはどんな状態?」「あなたが安心して授業に出られるために、どんなサポートがあるといい?」と問いかけると、学生自身の心の状態や求めているケアに意識を向けやすくなります。
学生の訴えをそのまま否定せず聴くだけで、無理に事実の整合性を取ろうとしなくても大丈夫です。必要に応じて学生相談室にもお声がけください。学生が安心して大学生活を送ることができるように、教職員のみなさまと一緒に考えていきたいと思います。