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平成30年度卒業証書授与式が挙行されました

お知らせ



校長式辞

 東北文化学園専門学校を卒業される皆さん、本日は誠におめでとうございます。専門学校を代表してお祝いを申し上げます。

 皆さんがこの日を迎えられたのは、ご自分の努力はもちろんですが、ご家族や周囲の方々のご支援があったからこそではないかと思います。長い間、皆さんを温かく支えてくださった、保護者の皆様、ご家族、ご親族の皆様にも、心からお祝いを申し上げたいと思います。そして、卒業までの間、本校に賜りましたご支援、ご協力に改めまして感謝申し上げます。また、本日の卒業証書授与式には、学園法人役員、同窓会、専門職団体様からご来賓のご臨席を賜りました。誠にありがとうございます。
卒業生の皆さんは、多くの困難を乗り越え、今日にいたっていますが、入学した時と比べて、はるかにたくましく、また人間的にも大きくなったと思います。新しい門出にあたり、校長として餞(はなむけ)の言葉を贈りたいと思います。

 先ほど、卒業証書を授与いたしましたが、本日、百十五名の皆さんが本校を卒業されます。皆さんは、三年前あるいは二年前の、期待と不安の気持ちで席に着いた入学式の日から、今日まで、勉強や実習、自治会サークル活動、友人との交流など、楽しかったこと、苦しかったこと、さまざまな経験をし、学校生活を送ってこられたと思います。今この卒業式の場にいる皆さんの胸のうちは、学生生活が終わるという安堵感と寂しさを覚えつつ、四月からの社会人としての新しい生活に対する期待や不安に満ちていることと思います。

 皆さんは、本校の教育方針を覚えておられるでしょうか。各学科各科では、「職場で、将来一緒に働くクルー(仲間)を育てる」を方針に掲げて、皆さんの教育活動に取り組んできました。

 視能訓練士科では、視覚器の構造や機能、視能検査方法、視能矯正学などを学び、視覚ならびに検査に関わる専門知識、検査機器の取り扱い方を習得しました。学内での実習を経て病院で七十日間の臨床実習を行い、資格取得のための国家試験に臨みました。三年生になった皆さんが、夕方遅くまで教室や教員室の学習指導スペースで熱心に勉強を続けてきた姿は、視能訓練士のプロになるという決意を強く感じました。

 こども未来科では、保育表現、保育環境、こどもの食栄養などを学び、体験実習を経て、学外での保育実習、教育実習を五十六日以上行ってきました。東京福祉大学との併修による通信教育、スクーリングというハードな学修にも熱心に取り組み、学内発表会では素晴らしい成果を披露してくれました。子どもへの理解を深めようとする皆さんの活動は、とても明るく元気をもらいました。

 介護福祉科では、福祉の対象者の理解、からだとこころの理解、老いるということの理解をもとに介護の知識、介護の技術を実践知として獲得し、施設実習、居宅実習を合わせて六十五日間の学外実習を積み上げてきました。特別講話で口腔衛生やアロマテラピー、福祉用具について熱心に聞き入る皆さんの姿は、とても真剣で、福祉社会に輝く光に思えました。

 社会福祉科では、様々な障害の理解を深め、社会を支える福祉制度を学び、実際の相談援助を想定した演習で知識を深め、コミュニケーション力を高めてきました。そして、施設実習、行政機関実習をあわせて三十八日間行ってきました。実習での事例研究をベースにした卒業研究発表を行った皆さんの目ヂカラには、福祉への強い思いが表れていました。

 医療秘書科では、医療現場を事務面から支える専門職になるために、受付から会計、予約管理、入院案内、医療費計算などに必要な医事コンピュータをはじめとする実務的な学びを進め、そして病院実習、クリニック実習を合わせて二十五日間行ってきました。面接試験の練習やメイクアップ講座、テーブルマナー講座では、緊張した中に社会人として凛と胸を張る姿を見ることができました。

 医療情報管理科では、医療情報処理のエキスパートを目指して、日本医師会認定カリキュラムをベースにIT技術の基礎から医事コンピュータ演習、診療報酬の外来演習を学び、病院実習を一年次に十五日間、二年次に十日間行いました。検定試験で優秀な成績を収めて表彰を受ける皆さんの晴れがましい姿には、目標を達成した喜びを感じることができました。

 診療情報管理士専攻科では、診療情報管理士認定試験の現役合格を目指して、診療情報記録の作成、診療報酬の算定、レセプトの記載方法などを学び、診療情報管理室での実習も行いました。明確な目標のもとでの実践的な授業に集中する皆さんの姿が印象的でした。

 建築土木科では、二級建築士合格の基礎を確実にする「建築」「土木」「設備」「測量」の知識を習得してきました。また、建築、土木に必要なたくさんの資格の取得も行ってきました。学びの集大成ともいえる卒業制作展では、公共施設の設計を発表する皆さんの地元愛が強く感じられ、素晴らしいアイデアにもとづいた夢のあるプランを見ることができました。

 インテリア科では、プロのインテリアコーディネーターとなるための知識と技術を得るために、企業との連携による授業を数多く受けてきました。空間デザイン力、プレゼンテーション力を身に付ける実践的な授業では、楽しさのなかにふと湧き上るインテリア空間が感じられました。卒業制作展では、インテリア設計と家具設計を発表する皆さんの新鮮な発想力に未来を感じました。

 このように、皆さんは自らの意志で、自分を成長させる学びに向き合ってきました。それはとても幸せなことだと思います。しかし、世界に目を転じれば、自分を成長させる教育の機会に恵まれない子ども達がたくさんいることは、ご存じだと思います。

 学校の教室を、つまりは教育を襲ったテロリズムの嵐のなかで、幸いにも生きのびた、パキスタン人のマララ・ユスザイフさんは、子どもと女性の教育を受ける機会を確保するために声を上げることを選択し、活動を始めました。当時十四歳でした。そのマララさんが、二〇一四年十二月に十七歳でノーベル平和賞を受賞し、受賞式で講演をしました。その中で、「教育は人生の恵みの一つであり、生きる上で欠かせないものです。」「私たちの未来はまさに教室のなかにあったのです。」と述べていました。
 皆さんは、教育を受ける機会を得ることができましたが、マララさんの言う「教育は恵み」、「教育は未来」という言葉をかみしめてほしいと思います。
  
 世界は今、ますます混迷を極めているように見えます。現代社会は、経済においても、政治においても、文化においても、人間の関わりにおいても多様な価値観の並立する社会であり、多くの課題に直面し、人類の幸福と発展を脅かす問題が、年々深刻になっています。東北地方は東日本大震災から八年経ちましたが、被災地域の復旧復興、再生はまだ途上にあるだけでなく、地域社会の解体、消滅など新たな問題も生じてきています。一方、デジタル技術やロボットなどの飛躍的な進歩と普及により、社会が急速かつ大きな規模で変わろうとしています。
 皆さんには、自立した社会人としてこうしたさまざまな課題に立ち向かい、生きづらさを感じている人が、誰でも必要なサポートを受けられる社会の仕組みづくりに、参画していってほしいと思います。

 卒業する皆さんに、伝えておきたいことがあります。それは、「目を閉じずに前を向いて歩いていこう」ということです。社会に出て働きはじめる皆さんには、おそらくつらいことにたくさん直面します。人生は楽しいことばかりではありません。それでも素晴らしいことがそれ以上にたくさんあります。皆さんが前を向いて歩いていくことを辞めない限り、素敵な人生、美しい人生が広がっていきます。

 最後になりましたが、皆さんには、誇りある東北文化学園専門学校の卒業生として、それぞれの分野で、社会の中で輝く人材となっていただくことを期待しております。
皆さんが素晴らしき人生を送られることを祈念し、万感の思いを込めて、もう一度申し上げます。皆さん、卒業おめでとう。

平成三十一年三月十三日
東北文化学園専門学校 校長 佐藤直由