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2019年度入学式を挙行いたしました

お知らせ
2019年4月3日
2019年度 東北文化学園専門学校 入学式を挙行いたしました。

東北文化学園専門学校入学式

入学式式辞

本日、東北文化学園専門学校は、百四十二名の専門課程新入学生ならびに九名の専攻科新入学生を迎えることができました。
専門課程ならびに専攻科の皆さん、ご入学おめでとうございます。みなさんの入学を心からお祝い申し上げます。入学に際し、皆さんを温かく支えてくださった、保護者の皆様、ご家族、ご親族の皆様にも、心からお祝いを申し上げたいと思います。
また、本日の入学式には、学園法人役員、同窓会、専門職団体様からご来賓のご臨席を賜り、二〇一九年度の入学式をこのように取り行うことができますことは大変喜ばしく、学校長として改めて厚く御礼申し上げます。

東北文化学園専門学校は、一九七八年(昭和五十三年)創立の宮城デザイン専門学校に端を発し、昨年、四〇周年を迎えました。これまで先進的な実学教育を取り入れ、優れた人材を多数送り出すという実績を重ねてきました。
そして、本校の全ての科が文部科学大臣から「職業実践専門課程」の認定を受けています。この認定制度は、業界関係企業や医療機関、福祉施設等との連携によって、実践的な職業教育の質を確保するカリキュラムが、組織されていることについて認定される制度です。皆さんがこれから日々受けていく授業や学内・学外実習は、その認定された授業であり実習であり、質の高い職業教育です。
専門課程は二年ないし三年という期間でありますが、各専門的職業の基礎をしっかりと学び、これからの社会を支える専門的職業人の一人としての実践力をしっかり身に付けていただきたいと思います。また、専攻科へ進学した皆さんには、二年間の専門課程の経験をもとに、さらなる一年の間、より高度な知識と技術の習得に努め、自立した専門的職業人への道に邁進してくれるように願っています。
本校での生活では、勉学に励むことはもちろんですが、課外活動にも是非積極的に取り組んでください。本校には他の専門学校にはない学生の自治会活動がおこなわれており、文科系、体育系のサークルがあり、皆さんの入会を待っています。先輩や他の学科の仲間と共に活動することが、互いの強い絆を築くことに繋がります。生涯にわたる親友に出会うことにもなるでしょう。

 さて、日本の元号「平成」は、この四月までとなり、五月からは「令和」と変わります。新入生の多くは平成十二年の生まれですが、平成とはどんな時期であったでしょうか。平成の中では、平成二十三(二〇一一)年三月十一日に発生した東日本大震災を忘れることはできません。東日本大震災は、東北地方にこれまでにない激甚災害と原発被災による放射能汚染をもたらしました。新入生の皆さんの多くは小学生でした。
振り返ってみますと、平成の三〇年間にたくさんの自然災害がありました。皆さんが生まれてからでは、新潟県中越地震、東日本大震災、広島土砂災害、御嶽山噴火、熊本地震、九州北部豪雨、大阪北部豪雨、西日本豪雨、北海道地震、そしていくつかの台風豪雨です。これらの災害で亡くなった方、行方不明の方は合わせて二万三千二百十六人にも上ります。東日本大震災をはじめとして、多くの地域の復旧復興は未だ途上にあります。本学での学びを基に、皆さんには人と人をつなぐ架け橋となり、被災地の未来に直接あるいは間接的になんらかの形で寄与していただきたいと思っています。

いま、「学びを基に」と述べましたが、私たちは何のために学びつづけているのでしょうか。
皆さんは、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん(現在三十二歳)をご存知でしょうか。安田さんは、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカで貧困や難民、その子どもたちを写真取材し、東日本大震災後は陸前高田を中心に被災地・被災者の記録を続けている方です。その安田さんが、『写真で伝える仕事』と題した五〇ページほどの小冊子の中で、“伝える”という仕事を始めるきっかけになったことを書いています。
安田さんは、高校二年生の時に、「友情レポーター」という子ども記者の募集に応募し、カンボジアに取材派遣されました。そこで出会った同じ世代の子ども達の中に、Sちゃんと呼ばれる少女がいました。後で知ることになるのですが、実は、Sちゃんは、「トラフィクト・チルドレン」-人身売買された子ども-の一人であり、働くことを強制されていました。安田さんはカンボジアで行われていた人身売買についての知識がないまま、皆と恋愛の話しをしたりしていたのですが、その時は、Sちゃんは表情が暗くなり、うつむき無口になってしまいました。そして次のように述べています。
「この出会いを通じて痛感したのは、『無知』がいかに人を傷つけるか、ということでした。もしも私が少しでも、カンボジアや人身売買について学んでここに来ていれば、Sちゃんの苦しい気持ちを呼び起こすことはなかったかもしれません。相手の抱える問題を知らないがために、言葉で、行動で、その人の心の傷に触れてしまうのかもしれないのです。私の中で『学ぶ』ということは、自分以外の誰かの心を守るためのものとなりました。」
こうして安田さんは、学び、誰かを守るために、『伝える』仕事としてフォトジャーナリストを目指したと記しています。

私も学びは、自分のためであると思うのですが、誰かを守り、みんなを、社会を、豊かにするためでもあると思うのです。
皆さんの学びも自分のためだけではないのです。皆さんが学びから得られる専門的知識や技術そして資格は、たくさんの人々が抱えている問題を解決するために、持ち寄りあえる一つになると思いますし、あるいは、たくさんの人々の未来を実現する一つの役割を担えるものにもなると思います。つまり、皆さんが学びをつづけることは、自分自身を成長させるとともに、他者に寄り添うことのできる心を育み、社会を豊かにすることでもあるのだということを、心に留めおいてほしいのです。

最後に、皆さんの夢を将来に繋いで行くためにも、より良い学校生活を送ることを祈ります。そのための支援を教職員が一丸となって行います。本校の教職員はどこにも負けない力量を持つ誇りうる職業教育の専門家です。教職員一同、皆さんが、本校で学ぶことは正しい選択であったと実感できるように、皆さんの修学を全力でサポートすることを約束し、式辞といたします。
皆さん、ご入学おめでとう。


2019年4月3日 
東北文化学園専門学校 校長 佐藤直由