卒業を祝して

東北文化学園専門学校を卒業される皆さん、誠におめでとうございます。専門学校を代表してお祝いを申し上げます。

昨年十二月、中華人民共和国において発症した新型コロナウイルス感染症は、世界的に感染し、その拡大に対する防疫体制と予防対策が講じられてきました。しかし、残念ながら、日本においても感染が広がり二月下旬から多数の人が集合するイベント等の中止や予防策の徹底が図られています。学校の休校やこの時期に開催される卒業式の中止・延期、式典の縮小などが決定されています。

本校においても卒業証書授与式の式典を取り止め、本日のように科ごとの卒業証書授与式として実施することにいたしました。晴れの卒業式を実施することが困難な中で、学生の皆さんを送り出すことに悔しさを感じています。皆さんも残念な思いを抱いていることでしょう。それでも入学以来、日々の学習、仲間たちとの交流、検定試験、資格取得試験、国家試験受験、就職活動に積極的に取り組んできた皆さんに、心からのお祝いの言葉を贈り、卒業の門出にしたいと思います。

皆さんが卒業の日を迎えられたのは、ご自分の努力はもちろんですが、ご家族や周囲の方々のご支援があったからこそではないかと思います。入学以来、皆さんを温かく支えてくださった、保護者の皆様、ご家族、ご親族の皆様にも、心からお祝いを申し上げたいと思います。そして、卒業までの間、本校に賜りましたご支援、ご協力に感謝申し上げます。

今日、百二十三名の皆さんが卒業されます。皆さんは、三年前あるいは二年前の、期待と不安の気持ちで席に着いた入学式の日から見ますと、はるかにたくましく、また人間的にも大きくなったと思います。授業や実習、自治会サークル活動、友人との交流など、楽しかったこと、辛かったこと、さまざまな経験をし、学校生活を送ってこられたと思います。今この卒業式の場にいる皆さんの胸のうちは、学生生活が終わるという安堵感と寂しさを覚えつつ、四月からの社会人、専攻科生としての新しい生活に対する期待や不安に満ちていることと思います。

皆さんは、本校の教育方針を覚えておられるでしょうか。各科では、「職場で、将来一緒に働くクルー（仲間）を育てる」を方針に掲げて、「プロになる」ための教育活動に取り組んできました。それは、授業や演習、製作、学内と学外での実習、現場での見学などたくさんの方法で行われ、さらには資格検定の準備、挑戦、資格取得の受験など授業時間の中だけではなく、放課後や土曜などにも時間を費やして取り組んできました。それは、皆さんの自らの意志で、自分を成長させる学びに真剣に向き合ってきたということでもあるのです。そのような時間と空間を持てたことは、とても幸せなことだと思います。

皆さんには、本校に在学中に得られた知識、技術、たくさんの資格そして人間としての成長を糧に、自立した社会人、専攻科生としてさらに成長を続けてほしいと思います。そして、社会で様々な課題を抱えている人々をサポートしてくださるよう願っています。

　卒業する皆さんに、伝えておきたい言葉があります。詩人であるサトウハチローの「ことばはやさしく美しくひびきよく」という詩の一節です。

　ことばで語り　　ことばで受け答える　　ことばではげまし　　ことばで礼をいう　

嬉しいこと。悲しいこと。辛いこと。聞いてもらいたいこと。訴えたいこと。わかってほしいこと。支えたいこと。力になりたいこと。感動したこと。感謝したいこと。ことばでしっかり伝えようという思いが表れています。皆さんも言葉で伝えることを忘れないでください。

最後になりましたが、皆さんには、誇りある東北文化学園専門学校の卒業生として、それぞれの進路において「輝ける者」となっていただくことを期待しております。
皆さん、卒業おめでとう。