リハビリテーション医療分野
日常動作の研究-運動軌道・運動パターン形成論-身体運動学領域
藤澤 宏幸 教授 研究グループ
我々の研究室では、日常生活動作の運動軌道および運動パターン形成について、エネルギーコストの最適化仮説をもとに研究を進めています。
ひとの身体は多くの関節から成り立っており、運動自由度が大きいのが特徴です。
運動自由度が大きいということは、色々なやり方(運動パターン)で動作を行えることにつながり、それを運動等価性と言います。
例えば、階段を昇るにしても、正面からも昇ることができますし、横向きで昇ることもできます。
けれども、身体に不自由を感じていない人々は、似たようなやり方(運動パターン)で階段を昇るでしょう。
それがどのように選択されているのかは、実のところ明らかにされていません。
最適化についても、エネルギーコストを基本とし、環境に依存して目的関数が異なることもあります。
まずは、多くの人々が選択している運動パターンを明らかにして、運動機能などに問題が生じた場合、どのような運動パターンを選択すべきかを明示できることを目指しています。
保健福祉分野
高齢者の健康づくりと介護予防 「地域は生きた研究室~地域に学ぶ実践的研究の展開」
吉田 裕人 教授 研究グループ
本学は2006年1月、宮城県登米市と保健福祉分野での連携に合意し、覚書を締結しました。
これまでに介護予防を目的として、高齢者の健康づくりの活動拠点を各地区の公民館や集会所に求め、そこで中心となって活躍する高齢者ボランティアリーダーを養成し、彼らの活動がリーダー自身や地区の高齢者の健康生活に与える影響について研究を進めてまいりました。
この研究は2000年の宮城県の三本木町(現大崎市)で開始しましたが、地区住民の状況が類似していて、こうした活動を行っていない地区と比較して、地区高齢者の転倒や閉じこもりといった要支援・要介護のリスクの発生率が低いことがわかりました。
この研究成果が評価され、登米市でも高齢者ボランティアリーダーの養成と活動を基盤とした介護予防事業の展開を意図して、本学との連携による介護予防事業を行うに至りました。
このように地域に内在する高齢期の人的資源を有効に活用し、住民主体の活動ネットワークを広げていくことの有効性を実証する科学的知見を蓄積すべく、今後も足繁く地域に出向き、研究活動を展開してまいります。