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総合政策学部 総合政策学科

震災後の地域づくりを考える特別講座

総合政策学部准教授 馬内里美


社会で活躍する方々をゲストスピーカーとして招く特別講座が開講されて十余年になる。八つの講座があり、どの講座も内容と形式がそれぞれ変化してきた。「住民参加のまちづくり」の特別講座に私も長年関った。私にとっては、社会と大学を風通し良くつなぐ「縁側」のような場である。

「震災・原発・エネルギー」をテーマとした特別講座の担当を引き継ぎ、今年度で3回目。震災後7年目、地域で具体的な活動に取り組んでいる講師を数人新たに迎えることになった。テーマを改めて考えると、「住民参加のまちづくり」に通じるところがあり、「震災後の地域づくり」が、ふさわしいと思う。テーマから外したとしても、原発・エネルギー問題は地域づくりの視点から見て、依然重要な問題である。

地方消滅の可能性が指摘される今、地域の持続可能性を考える必要がある。そのためには巨大プロジェクト依存から脱却し、住民主体で地域の特性を生かした地域づくりを行うべきである。そのヒントとなる草の根レベルの活動と、そのような活動をしている人々がいることを知ってほしい、と考えている。

特別講師の方々はいずれもユニークな経歴の持ち主である。ほとんどが間接的に存じ上げる方々で、私自身も話を聴きたいと思いお願いした。地域活動に積極的に関与する方々はフットワークが軽く、良い条件ではないにも関わらず、ご協力くださる。有難いと言うほかになく、心より感謝している。

以前の特別講座で社会人が参加していたこともあり、学生以外にも聞いてもらう価値はある、と思い個人的に広報した。その結果、ほぼ毎回数名の社会人の参加があり、多くは複数回にわたり参加された。

特別講座の話はどれも興味深く、期待通り、またはそれ以上である。私は自分の担当する特別講座のファンであると言っても過言ではない。しかし、私の独り善がりではないか。肝心の学生には特別講座はどう見えているのだろうか。気になるところである。学生たちの反応の多くは予想範囲内だが、想定外の反応も意外に多い。今の学生たち、若い世代の考え方の一端を垣間見るようで興味深い。それが、私が特別講座から学ぶ一番の収穫かもしれない。

学生たちは、今は知るだけかもしれない。それでも、何かの機会に話を思い出すことがあり、それが何かの契機になれば、と願っている。