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総合政策学部 総合政策学科

スポーツ選手のメンタルコントロール

2018.04.26
総合政策学部准教授 大野朝子


最近のニュースは、4月22日に仙台市内で行われた羽生結弦選手の凱旋パレードの話題で持ちきりだった。なんと10万8千人が詰めかけたという。私はスポーツには疎いので、冬季オリンピックもほとんどスルーで、なかなか旬の話題についていけなかったのだが、パレード前の「異変」には、否応なく気づかされた。週末に買い物に出た折に、老舗デパートの前に長蛇の列ができ、しかも、その列も、何重にも折り重なっている状態だった。そこでは、スーツでビシッと決めたデパートの職員が、プラカードを掲げ、緊張した面持ちで、ある特定の年齢層の女性たちを誘導していた。ふだんは滅多に見られない光景である。行列を作っている人たちの中には、スーツケースを引きずる姿も多く見られた。

いったい何事だろう!?と思って帰宅後に調べたところ、凱旋パレードの記念グッズを購入するための行列であったことが判明。改めて、羽生選手の人気の凄まじさを実感した。

スポーツに縁のない私でも、羽生選手のある側面には、ずっと注目していて、担当する英語の授業でもCNNの記事を紹介したくらいだった。というのも、羽生選手はまさに「鋼のメンタル」の持ち主だからである。

羽生選手のメンタルコントロールについては、ネットで検索すると、様々な記事が見つかるので、面白そうなものはスクラップしてある。その中でも、特に自分は「発明ノート」に心惹かれた。羽生選手が「発明ノート」と名付けたものは、日々の練習の記録で、一見普通の日誌のように見える。しかし、そのようにして毎日記録を取ると、イメージトレーニングの効果が得られ、モチベーションを保つのに役に立つほか、潜在能力を引き出す訓練にもなるらしい。まさに良いことづくしではあるが、毎日日誌をつけて、毎日きちんと反省する、というのは、簡単そうに見えて、なかなか継続が難しい。

羽生結弦選手は1994年生まれだが、テレビの映像で見る限り、まだ23歳だとはとても信じられないほど落ち着いている。同じく1994年生まれのスポーツ選手といえば、メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平選手がいるが、彼も常に謙虚で礼儀正しく、浮ついたところがない。彼らがどんなメンタル・メソッドを実践しているのか、今後も注目していきたい。