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総合政策学部 総合政策学科

「星の王子様」

総合政策学部教授 文 慶喆

私が一冊の本の中で、一番多く読んだ本は言うまでもなくサン・テクジュペリの「星の王子様」である。この本は私が小学生の時に父が買ってくれた。小学生の頃は他の童話と比べて特段の面白さは感じなかった。挿絵も最初はあまり上手だとは思えなかった。でも何となく一つ一つの物語には興味があった。一回読み終えた後は、暇なときに好きなところだけを開いてつまみ読みをしていた。それが大学生になって本当の面白さが分かってきた。本の最初にある「大事なものは目に見えない」という話が心に伝わってきた時であった。「心で見なくちゃ、ものことはよく見えない」。そうだ。私は単なる文字を通してストーリを読むのではなく、目を瞑ってでも心で読もうと試みた。感じないのは目を開けても目には見えない。

大学二年生の時に入った読書サークルでは、星の王子様を英語本で読むことになった。韓国語訳で読んだ時とは一味違う新鮮さがあった。英語本を読んだ後、中国の大学に行く機会があって中国語訳で挑戦した。内容は全部熟知していた為、読むのに難しくはなかった。日本に帰って来た後に、今度はフランス語版に挑戦した。ただ一年位フランス語を勉強した実力では無理があった。辞書で調べるときに原型が分からず1ページ読むのに数時間もかかってしまった。私の先生に1ページで五回以上辞書を調べたら自分の力に合わない本だと言われたことがあったので、フランス語版は半分位で諦めた。

「星の王子様」を書いたサン・テクジュペリは1900年フランスのリヨンで貴族の子孫として生まれた。しかし、第二次大戦中1941年奧さんと共にアメリカに亡命する身になる。その為「星の王子様」は、アメリカのニューヨークで生まれたのである。最初の原稿は30000単語で書かれたが、出版の段階で半分が切り捨てられた。その後、サン・テクジュペリは1944年コルシカ島から戦闘機の操縦士として出撃し、アフリカの上空で永遠に行方不明になる。「星の王子様」はニューヨークで出版して以来、世界の各言語で翻訳され、毎年100万部が売られ、述べ1億4000万部が売られたという。フランス語で書かれた20世紀最高のベストセラーである。

「今は偉そうにしているどんな大人達も、初めは子供だったのだ」。大人は外面だけ見て、中身を見ようとしない。しかし、本質は中にあるものだ。心を開いて見たら「大事なものは目には見えない」とした世界も目に見えるかな?