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総合政策学部 総合政策学科

打率と単位修得率

総合政策学部准教授 河本 進


春になり、今年もプロ野球のペナントレースがスタートしました。野球には様々な打撃記録がありますが、代表的な打撃記録の一つに打率があり、

 打率=安打数÷打数

で計算することができます。プロ野球で規定打席に到達した打者の年間打率の最高記録は、1986年に阪神タイガースのランディ・バース選手が記録した0.389で、規定打席に到達した打者が打率0.4(4割)を超えたことは一度もありません。なお、1989年に読売ジャイアンツのウォーレン・クロマティ選手は規定打席に達した時点で4割を超えていたが、最終成績は打率0.378で、4割達成はならなかった。

ここで、「安打数」を「合格単位数」、「打数」を「履修単位数」と置き換えると

 単位修得率=合格単位数÷履修単位数

という式に置き換えることができます。それでは、大学を4年間で卒業するには、どれくらいの単位修得率が必要か考えてみましょう。

総合政策学部では、学生が卒業するのに 124単位以上の単位を修得する必要があります。ここで、各授業科目の単位数は、1単位を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することになっています。また、通常の授業科目は15週間で実施されるので、1単位の授業科目は、授業と授業時間外の学修を含めて毎週3時間の学修を必要とする内容をもって構成しています。

例えば、1学期で25単位を履修するには、毎週25×3 =75時間の学修することを意味します。週75時間の学修とは、月曜日から金曜日までの5日間、毎日15時間学修することになります。学生がこの学修時間を確保するため、大学では、半年や1年毎に履修登録できる単位数の上限を定めています。この制度を通称「キャップ制」と呼びます。

ここで、キャップ制における年間履修登録単位数の上限を50単位とすると(総合政策学部では、少し複雑な制度で上限設定している)、4年間で履修登録できる単位数の上限は 200単位になります。したがって、4年間で卒業する学生の単位修得率は、124 ÷ 200=0.62以上となります。つまり、卒業生の単位修得率は、打率の夢である4割を優に超えるのです。打率と単位修得率、異なる性質のものが同じ様な式で表せるのが不思議であり、面白い。