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総合政策学部 総合政策学科

FP資格指導4年目

総合政策学部講師  石田 裕貴

毎年9月の第2日曜日は、仙台を挙げての音楽の一大イベントである定禅寺ジャズフェスティバルの最終日である。仙台の街の至るところで、にぎやかな歌声や楽器の音色があふれるのだが、私はいまいちその雰囲気に浸ることができない。というのも、毎年この日は私が資格指導をしているファイナンシャル・プランニング(FP)技能士の試験当日だからだ。私が受検するわけではないのだが、それでも指導してきた学生が合格を目指して頑張っているのを思うと、音楽を楽しむ気分にはなれないようだ。

FP技能士は、年金、保険、投資、税金、不動産、相続などに関する専門知識を身に付けて、顧客の人生設計のための資金計画を手助けするお金の専門家(国家資格)である。バブル崩壊後の低金利、「貯蓄から資産形成へ」の金融行政の推進、NISA(小額投資非課税制度)の拡充などの投資環境の整備を追い風にして、最近特に高い注目を浴びている資格である。

私が担当する本学のFP資格講座は、社会保障、民法、経済学などの幅広い専門分野の学習が進んできた3年生を主に対象としている。基本的には、FPの資格を取得して金融機関などへの就職活動でアピールしてもらうことを目的に、そこから逆算して7月から9月初旬までの2ヵ月間で3級取得、さらに希望者には10月から翌年1月までの4ヵ月間(3級から勉強時間を含めて6ヵ月間)で2級取得を目指している。

特に、3級からそのまま勉強を継続して2級を目指す学生は、非常にやる気に満ちあふれている。資格試験勉強の鉄則は過去問演習であり、そして合格に必要な正答率を(わずかに)上回ることができるように正答すべき問題とそうでない問題の取捨選択であろう。500ページほどの教科書の隅から隅を読み込みながら、過去問の一字一句に注意を払う。私が「この問題は教科書に載っていないので解かなくてもよいでしょう」と言おうものなら、学生から「何ページのここに書いてあります」、「教科書のこの記述が参考になります」とページの欄外にある小さな但し書きを指摘されることもある。ここ最近の2級の合格率は30%程度と難化傾向にあるが、合格を勝ち取った学生は自信を付けて、その後の就職活動に挑んでいるようである。

FP資格指導を始めて今年で4年目。私も学生とともに成長し、自分なりの資格講座に対するノウハウを蓄積し、合格へのプロセスが整いつつあると感じている。来年以降も多くの学生のチャレンジを待ち望んでいる。