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総合政策学部 総合政策学科

第6番目の登録商標

総合政策学部教授 小出 実


「TBGU知財塾」は、学生・教職員を対象とした発明の楽しさや知的財産管理に関する実践的な修得と「知的財産管理技能検定」の国家資格取得の学習の動機づけ等を意図した本学の教育改革支援費によるセミナー・ワークショップである。本学に昨年4月に着任して丁度1年近くになる今年2月の始め頃に教育改革支援費に対する研究成果報告が少し気になっていた。

その理由は「TBGU知財塾」の貴重な予算額に対して少し残額があったからだ。それは外部からの実務家の講師派遣費が予算額の大半を占めており、計画項目に対する支払い金残額が中途半端な金額というだけでなく何かやり残した気持ちがしたからである。

例えば、商標出願を弁理士事務所へ依頼すれば、1桁違う費用が必要となってくる。ただし、特許庁へ直接出願すれば予算内の残金で収まる金額であった。計画項目を一部改訂して「TBGU知財塾」自体の商標出願を実際に学生に体験させる申請をして承認してもらった。

ところで、「知的財産」とは、人の創造の成果として生み出された経済的に価値のあるもののうち法的な権利の対象となったものである。また、知的財産権法は、「特許法、意匠法、商標法など一定の権利を付与する法律の総称」であり、そのうちの商標法は、保護対象が商品やサービスに使用する「マーク」(商標)である。

商標の起源は古くてイタリアの職人が自らの工芸品に自分の署名を彫っていたといわれている。我が国の商標制度の歴史は、明治十七年(1884年)に最初の商標法である「商標条例」が制定され商標第1号は、「膏薬丸薬」の商標に始まっている。最近では地域の商品名と地域名からなる商標の出願が地域の特産品等によるブランド作りが地域団体商標制度のもとで全国的に盛んに行なわれている。

「TBGU知財塾」の商標出願を行うに際に本学に関する登録商標を調査してみると本学のマークを初め既に5つの商標が登録されおり、この商標出願が登録されれば、第6番目の登録商標ということになる。

昨年初めに、レオナルド・ダ・ビンチ(1452ー1519)天才の挑戦と題した展覧会が江戸東京博物館で企画されていた。自然観察を通じて真理に近づこうとしたレオナルドの挑戦について日本初公開の絵画「糸巻きの聖母」と直筆ノート「鳥の飛翔に関する手稿」などを直接拝観する機会を得た。ケース越しのノートは小さく彼が携帯していたものと思われた。「TBGU知財塾」のシンボルとして彼の思いに少しでも肖りたいと学生と共に手稿の鳥と発明品の飛行機のデッサンをあしらった商標を2月末に出願することができた。