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総合政策学部 総合政策学科

ピタゴラス勝率 ~シーズンを終

総合政策学部准教授 河本 進


今年のプロ野球は、日本シリーズでソフトバンクがDeNAを4勝2敗で破り、11月4日に全日程を終了した。本学がある仙台市を本拠地とする楽天は、リーグ戦を3位で終えて、クライマックスシリーズに進出したが、ファイナルステージで王者ソフトバンクに破れてシーズンを終了した。我が中日は、リーグ戦を5位で終えて、クライマックスシリーズに進出することなく,シーズンを終了した。

現在、プロ野球のリーグ戦の順位は、引分を除いた試合の勝敗数を用いて計算した

            勝率=勝数÷(勝数+敗数)

で決めている。4月20日付の国見テラスで紹介したが、総得点と総失点が勝率に与える影響を分析したビル・ジェイムズは、ピタゴラスの定理を模した簡単な計算式

   ピタゴラス勝率=総得点×総得点÷(総得点×総得点+総失点×総失点)

を考案して、総得点と総失点から勝率を予測することを試みた。下記の表は、シーズンを終えての全12球団の勝率、ピタゴラス勝率、それらの差(=勝率-ピタゴラス勝率)の計算結果をまとめたものである。年間試合数が143試合のプロ野球では、勝率差が約0.007で1勝の差になる。それゆえ、楽天、オリックス、日本ハム、阪神の4球団はピタゴラス勝率から勝率が概ね予測できたと言える。



両リーグの優勝チームのソフトバンクと広島は対照的な戦い方であった。ソフトバンクはピタゴラス勝率よりも勝率の方が高いので、接戦の試合を多くものにしていると思われる。一方、広島はピタゴラス勝率の方が勝率よりも高かったので、大勝した試合が比較的多かったのではないかと思われる。実際、ソフトバンクはサファテ投手がシーズン日本記録の54セーブを挙げているし、広島は12球団トップの総得点を挙げているので、少しは当たっているのではないかと思う。これらのことは各球団の全143試合の結果を検証すれば正確に分析できることであるが、勝率とピタゴラス勝率の情報だけからでも各球団の戦い方を思い描くことができるのが面白い。

12月になればプロ野球は野球協約上のポストシーズンになる。すでに、10月26日にドラフト会議が行われ、11月16日にはFA交渉が解禁になった。来シーズンに向けて各球団は、どのような戦力を整えてくるのだろうか。来シーズンこそ仙台の地で楽天と中日の日本シリーズを観られることを期待している。