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総合政策学部 総合政策学科

リーサス活用の地方貢献

2018.07.06
総合政策学部教授 小出 実
 
 「地方創生☆政策アイデアコンテスト2018」募集要項が6月8日に発表された。やはり、今年も募集が始まった。
 募集内容は、あなたが暮らす、または、ゆかりのある地域の現状・課題について、「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」を使って分析し、その上で解決策となるような政策アイデアを提案するというものである。その実施主体は、内閣府地方創生推進室である。昨年度は全都道府県から計975件の応募があり、さらに、教育現場でのリーサスの活用の事例の一つとして、ある国立大学でリーサスを活用し、データで地域の現状分析等を学ぶ講座が、新入生の必須科目になっているという。
 今年始め資料収集の過程で偶然に観光庁の担当者からリーサスを紹介された。これは、地域経済に関する様々な官民のビッグデータ(人工、産業、観光等)を分かり易く「見える化(可視化)」し、地方公共団体等による様々な取組を情報面、データ面から支援するため、2015年4月より国が提供しているシステムである。
 実際に学生を含む地域の人々がアイデアを創出し、全国の県や市町村単位の地方創生に関する官民連携ができる仕組みとなっている。
 昨年の2月7日に、大崎市出身のゼミ生と一緒に仙台駅を出発地とした大崎市のいくつかの観光地を巡る研修会に行く機会があった。
 大崎市には数多くの観光地がある。例えば、蕪栗沼と化女沼のラムサール条約登録湿地が2箇所もある。特に化女沼は自然との共生を実現している治水ダム湖として大崎市の貴重な観光資源となっており、ヒシクイ、マガンやオオハクチョウなどの越冬地である。研修翌日の2月8日は化女沼の周辺、観光資料館、湖岸の残雪の中、晴天の対岸の眺めも良く、沼全体がほとんど凍結していたが、沼の一部の凍結していない場所にヒシクイの群れが集まっている様子を運よく写真に収めることができた。
 しかし、今年4月から5年間の大崎商工会の認定経営発達支援計画の観光業の状況によれば、自然環境や体験型の観光ルートなどの観光資源が十分に生かし切れていない状況にあり、東日本大震災以後には風評被害等により宿泊客数も大きく減少し、大崎市の観光客の利用形態は、宿泊に対する日帰りが約1対9と県全体と比較して、宿泊の割合が低くなっているという。
 リーサスのHPに掲載されている昨年のコンテスト2017の審査会等の動画をゼミ生と一緒に見ながら、リーサス活用で何か少しでも地方貢献ができないかと期待してリーサスの研究を開始した。今年の参加を検討してみようとリーサス操作の練習を始めて少し経った頃、冒頭の発表があったのである。