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【作業療法学専攻】2020年度特論成果発表会

作業療法学専攻
9月11日(金)に4年生による特論成果発表会が行われました。今年はコロナ感染症の影響で前期の授業開始が遅れ、特論に費やせる時間が例年の2/3程に減ってしまいました。
また、人との接触を最小限にするため、調査や実験方法も限定されるという、非常に厳しい条件での研究となりました。
そのような状況の中、夏休みや帰省の機会も返上し、猛暑の中、毎日遅くまで大学へ通いつめた成果の発表です。
お揃いのリクルートスタイル、ケーシースタイルで堂々と発表する姿は、未来の臨床研究者を彷彿とさせ、輝いていました。
聴講した3年生も、来年の大きな目標が出来たことと思います。

以下にグループごとのタイトルと要旨を掲載します。

【香山・矢萩特論班】
タイトル:認知症カフェの効果に関する研究
認知症者の数は増加の一途をたどっており、認知症カフェも増加しています。しかし、関係者以外の地域の方の理解や認知症カフェを継続するための支援の在り方など課題もあります。そこで、認知症カフェに関して、歴史や形態、効果などを文献やホームページで調べるとともに、実際に認知症カフェに伺いヒアリング調査をしました。効果として、カフェが生きがいや気分転換になること、家族にとって情報提供の場や個別相談ができることが分かりました。地域住民の効果として、地域交流が増えることが分かりました。OTへの期待として、認知症のアセスメント(身体や心の評価など)を活かした生活支援をしてほしい、地域行政に関わってほしいなどがあげられました。


【首藤特論班】
タイトル:地域包括ケアシステムにおける認知症の方やその家族、地域住民への作業療法アプローチ~文献からの考察~
超高齢社会になり、高齢者の認知症の問題は社会でもよく取り上げられています。特に高齢者の老々介護や一人暮らしの割合も多くなり、地域に暮らしている認知症の早期発見や認知症の方を支える事業が地域包括支援センターを中心に行われています。今回の研究では地域の認知症対策に、生活を支える職種である作業療法士がどのような関わり方をしているのかを、多くの文献から読み取りまとめました。作業療法士も地域支援センターが関与した事業に多く参加していることがわかりました。具体的には認知症カフェ、予防教室、訪問リハ、出前講座、などで地域の認知症対策に参加していることがわかりました。


【高橋特論班】
タイトル:片麻痺患者の排泄動作に関する文献研究
排泄動作は、人としての誇りにも関わる日常生活動作で、生活の質を高める上でも自立したいと考える方が多いと考える。そこで、脳卒中により片麻痺となった人が、排泄動作を自立したいと思う心理的背景を知り、作業療法士として排泄動作訓練に関わる時に、どんなことに配慮すべきかを学びたいと思い、片麻痺患者の排泄動作について書かれた文献を調べた。
排泄動作は対象者の抑うつと関係していた。排泄動作は介護負担が大きいので、家族に迷惑をかけたくない思いから自立を目指す人が多い。排泄動作の中でも特に下衣の上げ下げが難易度が高く、立位バランスと体幹機能が重要だった。作業療法士は、身体機能の改善、心理的支持、環境調整の3つの視点で排泄動作訓練に関わっていることがわかった。


【本多特論班】
タイトル:VDT作業間における休憩の実態調査
疲労の軽減を図る休憩は重要であり、休憩の在り方を検討することは重要であるとの観点から、作業療法でも使われるようになってきているタブレットなどのVisual DisplayTerminals(VDT) を用いた作業時の休憩について検討することとした。遠隔授業でVDT作業を長時間行った作業療法学専攻の学生を対象に、生じた疲労と用いた休憩方法を、アンケートを作成し調査した。その結果、生じた疲労は先行研究と同様に精神作業による疲労の特徴である「ねむい、横になりたい、あくびがでる、やる気がとぼしい、全身がだるい」の項目で高い値が示された。休憩としては、「1回の休憩で複数の休憩内容を取り入れること」と「軽運動やストレッチ等の身体作業を行うこと」が疲労回復につながり、本人の満足度も高くなっていた。


【高木特論班】
タイトル:注意機能賦活訓練における色彩決定が注意力に及ぼす影響
あることに集中したり、色々なことに意識を振り向けたりと、我々の日常生活にとって注意機能は必須の機能です。疾患によってこの機能が失われた方に対して作業療法を行うことがありますが、作業を行う環境を考えたとき「色の環境」が注意に影響する場合があります。今回の研究では、机の色を変えた場合、そこで行う訓練の効果(注意力)が色によって影響されるのかどうかを調べました。そして、机上の色を変えない場合、赤色あるいは緑色に設定した場合の3条件で検討しました。結果は、赤色に設定した場合に注意力が向上する傾向にありました。このことから、訓練を行う環境を考える際には机上の色を考慮する必要性があることがわかりました。


【西澤特論班】
タイトル:落下における時間予測に関する研究
作業療法ではボールを投げる、つかむなどの訓練を座位や立位で行います。私たちはボールの速度を予測してうまくボールをつかむことができます。今回は、スクリーン上に写された高さの情報(5つの高さ)から着地地点を予測し、どの程度ずれが生じるのか調べました。実験をした結果、ヒトは物体の落下速度や高さに対応して正しい着地地点や着地時刻を予測していることが分かりました。今後、対象者の方とボールを用いた訓練をおこなうときには、ボールを投げる速度や高さを工夫しながらアプローチを行えるのではないかと考えます。


【北川特論班】
タイトル:プロンプトの違いによる作業活動量の変化
運動機能障害を抱えた対象者が以前と同じような生活をすることが難しくなり、新しい行動を獲得する必要があります。「心理学の学習理論」を用いて新しい行動を獲得するために効果のあるプロンプトの検討を行った。プロンプトとは、行動を促すもののことで、「お手本をみせる」「目的の行動をおこなっている映像をみせる」などがあります。これらを用意することで新たな行動の全体像を教えることや、その行動を促す手がかりになります。新たな作業活動を取り組む際に、さまざまなプロンプトを用意して、どのようなプロンプトを用意するとスムーズな作業活動が生起するのかを検討した。先に行われている多くの研究と同様に、プロンプトは作業活動を促す要因になり得ることが明らかになりました。