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[経営法学科]東ヨーロッパを巡る観光に関する海外研修を終えて~温泉街の活性化のポイントは〇〇~(准教授 鄭舜玉(チョン スンオク))

経営法学科/総合政策学科
 今回、「2023観光サービス経営戦略海外研修」として、オーストリア、チェコ、ドイツなど、東ヨーロッパを巡る研修旅行に10月18日~26日まで7泊9日の日程で参加しました。

  新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により3年もの期間 停滞していた観光サービス。いま世界的な再編の動きが進行しています。海外研修では、そのような大きな潮流を体感すべく、観光の専門家たちが同行し、各国の観光成功事例や機関訪問を通じて、観光分野従事者の力量強化を目的としていました。参加したのは、観光マーケティングやサービスマーケティングなどの学会専門家および、リゾート、宿泊、観光施設物、ケーブルカーなど文化観光分野の最高経営者、そして、特産物や伝統酒を生産する農業経営者、観光商品関連の製造経営者など、さまざまな分野のプロフェッショナルが研修に参加しました。


チェスキークルムロフ城から眺めた町の光景

 各分野の専門家が一緒に同行できたことで、自分の分野だけでは解決の難しい仕組みやシステムが解明でき、観光商品に高付加価値を付けるアイディアを得ることができました。特に、地域特有のStorytelling(物語)を観光に活用する方法論を確認できたことは大きな成果でした。

 例えば、チェコのボヘミア西部の都市、カルロヴィ・ヴァリという温泉地では、カール4世が温泉を発見した時のストーリを上手く物語化したことで、「飲む温泉」としてブランド化しています。現地で販売される商品も、温泉水を飲むためのストローがついた独特な形のマグカップや、温泉水を飲み易くするOPLATKY(オプラツキ)というワッフル※など、関連商品の展開には、とても興味をそそられました。
 日本の温泉街でも地域独自の物語化や関連商品の開発は可能だと希望も持てましたので、温泉街の活性化のため「地域資源の物語化」に是非、取り組んでいただきたいと考えています。

※OPLATKY(オプラツキ)・・・薄いウエハース2枚の間にチョコやバニラクリームを挟んだお菓子。日本の温泉饅頭のようなものだそうです。


カルロヴィ・ヴァリのマグカップ

 研修では、オーストリア、チェコ、ドイツのユネスコ世界遺産歴史地区や、トラム体験およびピルスナービール工場の見学、ワイナリー見学、グスタフ・クリムトのThe Kissという作品を観光商品に取り入れ、売り上げ増を図っている観光商品企業などを訪問しました。研修を行う中で、一般の方が体感する観光の表層だけでなく、集客等の仕組みや、観光資産をどのように利益に結び付けるのかについて、参加者同士でも活発な意見交換が行われました。

 ドイツの有数の白ワインの産地と知られているリースリングの倉庫、「リューディスハイム」の見学では、ライン川に沿って果てしなく広がるぶどう畑の美しさの背景にある、ワイナリー組合の結成および活性化の背景、行政の支援などの話を伺い、感動を覚えました。そこで出会ったリースリングワインは、未だに記憶に鮮明です。リューディスハイムに訪れる観光客の満足度が伝わるような気がしました。

リューディスハイムの地図
リューディスハイムのブドウ畑の地図

リースリングワイン
GEORG BREUERのリースリングワイン

 研修を通じ、観光商品の開発や観光商品に地域特有の物語を活用するポイント、地域活性化の努力の他、需要と供給の中で起きる観光サービスの問題点も確認することができました。また、これからの研究テーマの要素と新たな気づきを得ることができ、とても有意義な研修でした。